ここ1年くらい、左上の奥歯でものを食べると痛かった。
キャラメルみたいな形状の変わるタイプのものなんか挟まった日には悶絶し、なんなら食パンくらいの柔らかさでも左では食べられたもんじゃなかった。
歯医者。嫌いではないと言い張るが、好きでないことは事実。あと単純に歯医者に行くの面倒くさい。
しかしつい先月やっと重すぎる腰をあげて家から出る決心をした。1ヶ月の歯医者との戦いの幕開けである。
予約に苦しむ
1月末。歯医者の予約をするのにWeb予約があると知り、喜び勇んでWeb予約をする。電話の苦手な現代っ子なのでWebだととってもありがたい。
指定の時刻を入力し、送信する。空いている時間を第5希望まで載せることができた。
2時間後。存外早く返信が来る。どれどれ、と思って指定の時刻を確認すると、
そこには第5希望にかすりもしない時刻
出鼻を挫かれた自分の勢いは3分の1程度まで失速した。これに対する返事はメールか電話の二択が求められていた。
ここから希望をすり合わせるのにメールをいちいち打つのはより面倒だと判断し、意を決して電話をかける。
どうやら、自分が指定した希望時刻は全て埋まっていたらしい。申し訳なさと電話応対の怖さで窓口のお姉さんが心なしか怒っているようにすら聞こえる。慌てて代替時刻を告げると
「そこの時間帯は営業時間外ですね......」
電話応対しながら顔が赤くなった。もう汗もかいちゃう。
無事に予約をとる事に成功した。初めて自分の金で行く歯医者。親に引きずられるように親知らずを抜かされた4年前が最後の記憶だ。
どうして自分の歯は痛くなんてなってしまったのか。恨むように左奥歯を避けながら夕飯を食べる。
初診
指定の時刻より20分も前に、病院についた。
この歯科医院に来るのは初めてだ。とても綺麗である。
待合室は喚起のためか扉が全開だった。窓口のお姉さんは暖かそうなジャケットを着ながら仕事をしている。歯医者なんか寒くないだろと薄着で来たことを軽く後悔した。
以前Twitterで歯医者はコロナが流行る前から感染対策をしっかりする必要がある場所だから割と安心という話を見ていたためか、至る所の感染対策部分を見てしまう。
まず待合室の椅子は当然のように間隔が開けられている。検温もさせられる。
消毒をしないと、窓口のお姉さんにしてくださいと指示される。センサーの場所がわからなくて四苦八苦していたら待合室のおじいちゃんがやり方を教えてくれた。ありがとう。
最後に「本日私は大変健康です。以前コロナに罹患したこともありません。」という旨を示す誓約書を書かされる。これ、初診だけかと思ったら毎回書く。なるほどこれが受診側の責任かと感じつつ署名する。
順番が来ると、診察室に呼ばれる。
診察室も当然窓が全開のため非常に寒い。膝掛けを貸していただけるが、次回以降はあたたかくすることを心に誓った。
マスク入れを渡され、マスクを外しうがいをする。家以外でマスクを外すなんてことがここ1年なかったため、これがとっても新鮮だった。歯科とはいえど病院内でマスクを外すなんて、元気でもコロナが流行ってなくてもあんまりしない。
虫歯だった
結論から言うと想像していた通り左の奥歯は虫歯だった。ただ、まだ神経が元気に生きているため、麻酔をした状態で治療になる。
ここで驚いたのが歯のレントゲンである。歯をレントゲンで撮ってもらった経験がなかったため、それはもうすごくすごく驚いた。
レントゲン室でキョロキョロしてお姉さんにレントゲン撮るの初めて?と聞かれてしまったくらいだ。学校の検診くらいでしかレントゲンを撮ったことはないためゆっくりまじまじと機械を見るのも初めてだった。
歯に噛むものを咥えさせられ、自分の周囲でクルクルクルクル回転するゆかいな装置だった。子供用なのか、愉快な曲まで流してくれる。
この時の「しっかり咥えてください」はどの程度しっかり咥えていればよかったのだろう。ぐっと咥えすぎて曲が終わる頃には顎が疲れてしまった。
虫歯の治療の前に宣言されていた通り麻酔をかけてもらう。麻酔をかけてもらうと自分が最強になった気分になる。
なんせ全く痛みを感じないのだ。どんなに口の中でウィンウィン言っていても、キュイィィンと響いていても知らん顔できる。音はめちゃくちゃ怖いので耳栓もして欲しいものだが。
ただ、麻酔を打つ時少し痛かった。なんか細いものを刺されている感覚があるのだが、ちょっとくしゃみとかしたらこの針っぽい何かは折れて刺さるんじゃないかとか、口の中でぱきって折れたらヤバそう。とか考える。
欲を言えば麻酔を打つため用の麻酔もして欲しい。麻酔のマトリョシカ。
治療終了
虫歯部分を削り取ってもらうと、自分の歯にポッカリと穴ができる。穴を開けた直後、少し自分の舌で触ると謎の深淵を感じる。
「おぉ......穴が空いてるぜ......」
この後詰め物をしてもらい、経過を見て、銀歯を被せる。
銀歯を被せる前の詰め物がとんでもなく熱を通すようにできている。これの何が悪いかと言うと、口の温度と異なるものが入ってきたときに涙が出るほど激痛が走る。
自分の場合神経が生きていたので仕方ないとはいえ、まずうがいするのも痛い。
それなりに温かい飲み物だとあまり染みないのだが、温かい飲み物を飲んでから冷たい感じの食べ物を食べても染みる。
詰め物をしてから銀歯を被せるまで、診察スパンは可能な限り短い方が絶対に良い。
次に被せ物だが、45,000円払うとプラスチックが混じったセラミックにしてもらえ、90,000円払うと完全なセラミックにしてもらえる。別に奥歯だし、と保険適用のきく銀にしてもらったが、社会人になってバリバリ金を稼げるようになったらセラミックにしてもらおう。
後からセラミックに変えることも出来るようだ。セラミックだと真っ白な歯になって、かつ虫歯の再発もしづらいらしい。お金のない自分には関係ない。
保険適用が効くので銀歯だとやすい。計4回の通院で
- 初診で1,000円
- レントゲンや虫歯治療で8,000円
- 銀歯詰め物で3,000円
程度取られてしまった。思ったより歯の治療はお高い。
その後
虫歯が治ってからと言うもの左でものを食べるのがそれほど苦痛ではなくなった。どことなく染みる形跡があるのだが、これは知覚過敏によるものだそう。
- 奥歯を強く噛む癖があるなどで、歯の土台が若干沈んでいる
- 土台が緩むことで浸透圧の関係から知覚過敏が起こることもある
- 塗り薬を3回くらい塗れば落ち着いてくるかも
端的に虫歯とは関係ないからしょうがないようだ。諦める事にした。特に甘いものとかは染みるらしいけど今マシュマロ食べながら少しの痛みを楽しんでいる。このくらいなら虫歯よりつらくない。
歯並びが虫歯になりにくいらしく、他の虫歯の発見も見られなかったため、治療はこれで終了となる。
歯周病予防で次回は歯のクリーニングをしてくれるらしい。言われるがまま歯医者の予約をとっているが、財布はもってくれるのだろうか......。