家に帰ったら、母親が自慢げに腹を触らせてきた。
「最近運動するようになったら今まで硬くてつまみどころがないくらいだった腹が痩せてつまめるようになった」
らしい。確かに以前よりパンパンに膨れていたイメージの腹は柔らかくなっていた。すごい、と褒めると意気揚々と母親はその理由たるゲームを引っ張り出してきた。
デデドン!!!

いやそれ太古のゲーム
まさかのWii fit さすが母上、想像を上回ってくる。
すでにサポートを終了した知らせがTwitterで回ってきたのも随分前の話だ。よく埃かぶっていたこれを引っ張り出そうとしてきたな......。
うちには初期Wii fitと、Wii fit 2があるはずだったのだが、2の方はディスクがぶっ壊れていて使い物にならないらしく、母親が毎日やっていたのは初期の方だという極め付けっぷり。
効果があるのならまあなんでもいいのだが、さすがに古代のゲームダイエットすぎる。
少々太っている母、最近病院通いをしているらしく、高血圧の薬を服用している。毎日血圧を測って薬を飲んでいる。本当に偉いと思う。
ここは自分が一肌脱ぐべきだ。普段寂しくWii fitをしているより、最近のゲームの方が楽しいのではないか。しかもよくTwitterにはSwitchでやるあのRPG的なフィットネスゲームがRTで流れてくる。
あれだ、買おう。

リングフィットアドベンチャー!!!
なんか6000円くらいで買えると思ってたら、
ばかくそ高かった。税込み8330円。というのも、

このレッグバンドとリングコンがついてくるから高いんだろうな。確かにWii fitもfitの板ついてくるし、きっとその分高かったんだろう。
思わぬ高い贈り物になってしまった。ついでにSwitch本体も買ってあげようと思ったのだけど、Switch本体は売り切れだった。いまだに売り切れてるのか...。仕方ないから自分のSwitch本体を貸して様子見をすることになった。
3月10日にはApexがSwitchでできるようになるので、このSwitchは母親に貸せなくなる。頑張ってSwitchを探すしかない。
本題のリングフィットだが、これは面白いと思う。
- ストーリーモード
- 各種運動メニュー(筋トレ・ヨガ・ゲームなど)
- 全身を使ったリズムゲーム
- TVとか見ながらできるモード
の4種類に分かれている。
ゲームの指示に従って左足の太腿にレッグバンドを巻く。このレッグバンド、適当なジャージの上から巻いたりすると激しい全身運動やジョギングによりすぐずり落ちてくるのが難点。
あとこいつが左足の太腿でいちいちしっかり動きを感知してくるので、サボるとバレる。体重移動しか感知してなかったWii fitに比べると「しっかり」運動できる感がある。
ほいでリングコンと言われるあのハンドルチックなやつを内側におしたり外側に引いたりして使う。Switchリモコンの代わりにゲームの選択ボタンとして押し引きも利用できる。
押せばYes、引けばNo、傾けて選択し、上とか下に下げて選択する。
ところがどっこい、このリングコン
結構硬い。
考えても見て欲しい。普段、自分の胸の前で何かを内側におしたり引いたりしないだろう。この形状のものを押し引きするだけでもうかなり疲弊する。しかもこの押し引きの判定が割とシビアなのだ。
早々にSwitchリモコンのボタン操作に切り替えた。
まだゲームもしてないのに疲れた。期待大。
去年の4月頃から「辛いと噂になっていたストーリーモード」を試してみることにする。
年齢は20代、普段の運動量は選べるうちの最下限。
にもかかわらず謎の自信に満ちていたため、ゲームでかける負荷を下から2こ目の「そこそこ」に設定した。
世間一般の20代と、家に引きこもり続けるという怠惰な大学生活を送った自分との間に、途方もない解離があったことを実感することともつゆ知らず......。
ストーリーモードの流れは大まかに
- ジョギングする
- 道にある障害物をリングコンを押して空気砲で壊し
- ジャンプするために下に向けて空気砲をうち
- 道端に存在するコインを拾うためにリングコンを引いて吸収し
- 魔物を筋トレ・ヨガで倒す
2~5をランダムに繰り返し規定の距離を走りきるとステージクリアとなる。
どれが一番きついかというと、圧倒的に5。戦闘がぶっちぎりでつらい。
敵と遭遇すると(シンボルエンカウント)、戦闘シーンに移行し、「わざ」として筋トレやヨガを選ぶことになる。
自分にはレベルが設定されているので、ストーリーモードを進めていくとレベルが上がり、新しい技を覚えることができるらしいが、最初は
- スクワット
- バンザイプッシュ(腕を上に上げたままリングコンを押し引きする)
- ニートゥーチェスト(足を伸ばして床に座り、膝を胸元に引き寄せる)
- 椅子のポーズ(腰を落としてリングコンを真ん中と真上にゆっくり移動させる)
他にもたくさんあるので見てみて欲しい。辛さが伝わるかと。
軽快なリズムと、アホっぽい敵に誤魔化されてなければ絶対自分じゃやらないメニュー。
これを、一回クリアすれば戦闘が終わるかといえばそうじゃない。
20代運動量「そこそこ」だと、
この4つのうちのメニューを3つはやらないと敵を倒せない。それぞれ10回くらいやらされるので、スクワット*10、ニートゥ*10、椅子ポ*8くらいで討伐完了する。
敵を倒す喜びも束の間、すぐにジョギング画面に移行する。走るの楽しい〜〜〜〜というハイになってくると、また敵に遭遇する。1ステージ2体くらい敵がいるのでこうなる。
そうこうしているうちにステージが終わる。一つ終わる頃にはヘトヘトなのだが、最後に「ビクトリーポーズ」という元気が出る感じのポーズをさせられる。
毎回
「こんなポーズさせやがってよ......」
と渋々ポーズをするのだが、実際やってみるとTVからは「ビクトリ〜〜〜〜〜〜!」と言われ、ポーズの気分上昇効果も相まって非常に元気になる。アホかと思うくらい元気になる。なんならドヤ顔までする。
ステージが終わると、脈拍を測ってくれる。
自分はこのゲームをやって初めて知ったのだが、SwitchのJoy-con Rの下部には赤外線センサーみたいなのがついているらしい。正式には「モーションIRカメラ」という。
これで脈拍を測ってくれる。同時に、今のステージの運動が自分にとってどういうものだったのかを教えてくれる。
これだけ頑張って自分の運動負荷は
「とても軽い運動」
と言われる。こんなに頑張ったけどまだ負荷を上げても良いのか......世間の20代はもっと元気なんやな......という気持ちになる。
昨日は10分しかやってないのに起きる時には全身筋肉痛になった。
戦闘で様々な運動を強制されるため、全身いい感じに痛めつけられるのだろう。
あとで調べて見たところ、リングフィットは「痩せる」効果はそれほど高くないのだそう。「痩せる」効果が大きいのは有酸素運動なので、fitボクシングの方が良かったのかもしれない。
じゃあリングフィットは何かというと、こっちは筋肉をつけてくれる。なので「シェイプアップ」という面ではこちらの方が良いのだそう。
体重が変わらなくても効果がないわけではないので安心して良いそうだ。
......という諸々の情報とともに、リングフィットを母親に渡す。
50代、普段の運動量は最下限。
そして自分の反省を踏まえ「おてがる」という一番したの運動負荷に設定し、母親のプレイをみる。
運動負荷が変わると、結構変わるのを目の当たりにした。
まずジョギングのスピードがありえん早い。全てのユーザーで同じマップを使うためか、コース自体は自分と全く同じだった。
しかし運動負荷を変えなければならないとなると、おそらくマップ踏破にかかる時間を短くする必要が生じてくる。
そのために変わるのが「ジョギングによるプレイヤーの進行速度」。
自分が走ってた時よりマップが進む速さがおかしい。次やるときは「おてがる」に変えてもいいかもしれないと思った。
次にリングコンの反応も優しい。
少し押すだけでどちゃ強い空気砲が出るし、めっちゃジャンプ力ある。これが運動負荷の違いか......と実感する。
何より一番差が出るのが戦闘である。
まず一つの技達成に要する数が違う。自分はスクワット10回やらないと次の技が出せなかったのに、母親はスクワット4回で見逃されている。
そして魔物は2回程度の攻撃で討伐できる。
最終的に母親の脈拍を図ると
「適度な運動」
という表記になる。
なるほど、確かに運動負荷はきちんと設定されているようだ。幅広い年代の人が使えるのも納得できる。
そして母親が自分が思っていたよりもう年なんだということをひしひしと感じたのであった。
ちなみにリングフィットもスイッチも、電気屋まで行って買った方が少し安い。