[質問]
以下の場所に最短で行きたい時、人間はどうやって渡っているでしょうか。

基本的にこう渡るはず。

これは感覚的にもそうだけど、三角形の3辺をa,b,cとすると、成立条件が
になるから、2辺通る左の渡り方より一辺だけの右の渡り方のが最短になるんだよね。もう自明ですわ。

近所に、こう言う感じの場所があって、幼稚園生頃からいつまでかは忘れたけど、長い間。私はずっと左側の渡り方をしていた。これが一番近いと思っていた。

時は幼稚園で開催された交通安全教室まで遡る。
マリオとかクッパとか出てくる、かなり子供受けしそうなビデオの後、道路を横断するときのルールを説明される。
園の敷地に白線引いて横断歩道とか作って、それを使った体験の時間。
その時に幼稚園の先生は言ったのだ。
「道路を渡ってあそこ(目的地)に行きたい時は、先に道路を渡っちゃってから行った方が早くそこに着けるんだよ!!!」
いくら数学ができないと仮定しても流石にそんなことを大真面目に言ったりはしないだろう。
思うに、斜め横断をすると道路にいる時間が長くなるから、それを防ぐために
「まず横断させ、その後道路に沿って進む方がいい」
と教える一つの手法だったのかもしれない。
幼稚園生ならなんでも信じ込みかねない。案の定自分は信じ込んだ。
しかも道路だけには飽き足らず、他の部分まで拡張する頭は持っていたらしく、そのうち斜めよりまっすぐいって曲がった方が全面的に近いと信じ込んだ。
「見た感じ斜めに行った方が近そうだけど、先生は斜めじゃない方が近いって言った」
これを根拠に小学校の通学の半分ほどを真面目の権化のように斜め渡りせずに道路を横断していた。だってその方が近い(らしい)から。
見た感じ斜めに行った方が近そうだけど、という疑問は確かにあったはずなのだが、トリックアート的な何かなんだと強引に理解したんだと思う。幼少期の信心深さは侮れない。
そしてこの理論は自分だけに留まらず、小学生時代、一緒に下校する友人にも吹聴して回り、斜め渡りせずに帰っていた記憶がある。
そこそこに友人からの信用性がある小学生だったので、みんなで斜め渡りしないで帰宅していたのを、今考えるとトンデモ面白い。
三角形の成立条件を無視した最短距離を吹聴した過去を持つ東工大生爆誕
小学校も高学年になると、
「いやこれどう考えても斜めの方が近いだろ」
と思い直し、斜めに渡るようになるのだが、明確な理由ははっきりしないまま、高校受験をする年齢になる。
そこで登場したのが、冒頭で述べた三角形の成立条件である。
三角形なら、2辺の和は1辺より大きくなる。
つまり最短距離は数学的にも斜め渡りが絶対的正義だった。
当時気づいた瞬間の私は
「あの先生〜〜〜〜〜〜〜」
と悪態をついたものの、幼稚園の時の戯言を信じ切っていた自分も自分だ。お門違いも甚だしい。
ちゃんちゃらおかしい。
高校受験をちゃんとしっかり勉強してなければ、今でも自分は
「なんでか知らんけど斜め渡りは最短...って言う説もあるらしい」
とかなんとか思ってたかもしれない。数学が(好きではないが)絶望的に嫌いじゃなくてよかった。
心からそう思う。と、小学校の通学路を斜め渡りするたびに思い出すのだ。